EvoLiNQ 公共交通アナライザー(Beta) — 操作説明書 管理者向け操作説明書 ← 地図に戻る

EvoLiNQ 公共交通アナライザー(Beta) 操作説明書

EvoLiNQ 公共交通アナライザー(Beta)(GTFS × OpenStreetMap)の一般利用者向け操作説明書です。GTFS(公共交通データ)と OpenStreetMap(道路網)をもとに、地図上で「どこまで行けるか」「どれだけ便があるか」を対話的に調べられます。

管理者向け機能(GTFSデータの登録・グラフ再構築など)は別冊の管理者向け操作説明書で扱っています。

1. はじめに

1.1 このシステムでできること

分析メニュー分かること
到達圏(公共交通+徒歩)指定した時刻に出発した場合、10/20/30分…とどこまで行けるか(多段階の塗り分け)
道路アクセス車・自転車・徒歩で、指定した速さで走った場合にどこまで行けるか
経路検索出発地から目的地までの具体的な経路(設定時刻/始発/終電の3通り)
GTFS A/B比較2つのGTFSデータ(例:改正前後、廃線前後)を左右の地図で比較
学校の通学圏ある校種の学校すべてについて、登校締切/帰宅締切に間に合う範囲
病院の通院圏表示範囲の病院すべてについて、指定した時刻までに着ける(または出て帰宅できる)範囲
運行本数指定した時間帯に、どの路線にどれだけ便があるか(線の太さで表現)
統計レイヤ人口・年齢、昼夜間人口、在学者、従業者、学校位置、病院・診療所位置、通学区域などを地図に重ねる
徒歩圏人口集計バス停・路線ごとの徒歩圏内推計人口をCSVで取得
画面挿入トップ画面全体(サイドバー+フルスクリーン地図+右上レイヤコントロール+右下凡例)

1.2 動作環境

  • PC・スマートフォンいずれのブラウザからも利用できます。
  • スマートフォンでは、地図右下(PCでは左)の「条件」ボタンからサイドバーを開閉します。
  • Basic認証のかかった /admin/ は管理者専用です(管理者向け操作説明書を参照)。

1.3 画面の基本構成

場所内容
サイドバー(左)「地点」「分析」「統計データ・徒歩圏集計」の各パネル
地図(中央)分析結果、GTFS路線・バス停、統計レイヤを重ねて表示
レイヤコントロール(地図右上)ベースマップの切り替え、各種オーバーレイのON/OFF
凡例(地図右下)表示中のレイヤの色・線の意味。ボタンで畳める
画面挿入サイドバーの3パネル(地点/分析/統計データ・徒歩圏集計)の見出し部分を並べたもの
画面挿入レイヤコントロールを開いた状態

2. 基本操作

2.1 出発地・目的地を指定する

「地点」パネルで、中心地(出発地)と目的地の2点を指定します。

  • 住所検索:住所や施設名を入力して検索します(国土地理院の検索を利用)。
  • 地図で指定:「地図で指定」を選んでから地図をクリックします。
  • ピンは地図上でドラッグして移動できます。
画面挿入「地点」パネル(住所検索欄・地図で指定ボタン・中心地/目的地の切り替え)

出発地をバス停・駅に合わせる

「地点」パネルの「出発地はバス停・駅に合わせる」(既定でON)を有効にすると、指定した地点周辺(半径1km)の最寄りのバス停・駅に出発地が自動的に吸着します。

  • 吸着すると、地点名の下に 🚏 安中駅東(9_02) のように表示され、どれだけ寄せたかも分かります。
  • 半径1km以内にバス停・駅が無い場合は指定した地点のまま扱われます。
  • バス停をクリックすると開く時刻表からも、「ここを出発地にする」「目的地にする」で地点を設定できます。
  • 「病院・診療所位置」レイヤを表示している場合、病院・診療所のマーカーをクリックしても同様に「ここを出発地にする」「目的地にする」を選べます(バス停への吸着とは別の操作で、この場合は指定した施設の座標がそのまま地点になります)。

道端や田畑の真ん中を出発地にすると公共交通の到達圏がほとんど出ないため、既定でバス停に寄せる設定になっています。任意の地点をそのまま使いたい場合はチェックを外してください。

画面挿入バス停へ吸着した状態の地点表示、および時刻表ポップアップの「ここを出発地にする」ボタン
画面挿入病院マーカーをクリックして開くポップアップ(「ここを出発地にする」「目的地にする」ボタン)

2.2 分析メニューを選ぶ

「分析」パネルのラジオボタンで、7種類の分析から1つを選びます。同時に表示できるのは1つで、切り替えると前の結果は地図から消えます(複数の結果が重なると読み取れなくなるためです)。選んだ分析に応じて、下に専用の入力フォームが開きます。

画面挿入「分析」パネルのラジオボタン一覧(7項目)

2.3 到達圏(公共交通+徒歩)

出発日・出発時刻・到達上限(分)・段階の刻み(分)を入力します。刻みが10分・上限40分なら、10/20/30/40分の4段階で塗り分けられます。

アクセス手段は4択です。

選択肢内容
徒歩+公共交通バスや電車と徒歩を組み合わせた到達圏
自転車+公共交通自転車と公共交通を組み合わせた到達圏
公共交通のみバスや電車に乗って初めて届く範囲(徒歩だけで届く範囲は除く)
徒歩のみ公共交通を使わず歩くだけの到達圏
  • 「この時刻に到着」を選ぶと、逆に「その時刻までに中心地へ到着できるか」という到達圏になります。
  • 帯は「中心地を指定時刻に出発してからの経過時間」を表します。徒歩・待ち時間・乗換時間もすべて含まれます。
  • 出発時刻ちょうどに発車する便にも乗れます(詳しくは4章)。
画面挿入到達圏の入力フォーム(出発日時・到達上限・刻み・アクセス手段)
画面挿入到達圏の表示結果(多段階の帯と凡例)

2.4 道路アクセス(車・自転車・徒歩)

車・自転車・徒歩のいずれかを選び、移動時速(km/h)を自由に入力します。方式は「道路ネットワーク(OSM)」(実際の道に沿った到達圏)と「円圏」(迂回率で近似した簡易表示)から選べます。

画面挿入道路アクセスの入力フォームと結果表示

2.5 経路検索

出発地・目的地・日付・出発時刻を指定し、次の3種類から検索します。

検索方法内容
設定で検索指定した出発時刻に出発する経路
始発で検索当日の始発に乗った場合の経路
終電で検索指定したリミット時刻までに帰れる最終の経路

結果は候補カードとして一覧表示され、全候補が地図に描かれます。選択中の候補は太い赤線、他の候補は淡い赤線で表示されます。カードをクリックしても、地図上の線をクリックしても選択を切り替えられます。

画面挿入経路検索の結果カード一覧
画面挿入地図上に複数候補が描かれた状態(選択中が太い赤線)

2.6 学校の通学圏

校種(小・中・高)を1つ選ぶと、表示範囲にあるその校種の学校すべての到達圏を重ね合わせて表示します。塗られていない場所は、その条件でどの学校へも届かない場所です。

時間帯指定するもの
朝学校に着く締め切り時刻+到達上限
夜学校を出る時刻+帰宅の締め切り時刻(到達上限は自動計算)

学校の位置が分からないと結果が読めないため、この分析中は学校位置レイヤが強制的に表示されます。学校数が多い場合、計算対象校数の上限(既定12校・最大30校)を超えることがあり、その場合は状態行に「◯校は未計算です」と表示されます。この場合、塗られていない場所が本当に届かないとは限らない点に注意してください。

画面挿入学校の通学圏フォーム(校種・朝/夜切り替え)
画面挿入通学圏の塗り分け結果(学校位置と併せて表示)

2.7 病院の通院圏

表示範囲にある病院(診療所・歯科診療所を除く)すべての到達圏を重ね合わせて表示します。学校の通学圏と同じ考え方で、塗られていない場所は、その条件でどの病院へも届かない場所です。

向き指定するもの
行き病院に着く締め切り時刻+到達上限
帰り病院を出る時刻+帰宅の締め切り時刻(到達上限は自動計算)

病院の位置が分からないと結果が読めないため、この分析中は病院・診療所位置レイヤが強制的に表示されます。病院数が多い場合、計算対象病院数の上限(既定12件・最大30件)を超えることがあり、その場合は状態行に「◯件は未計算です」と表示されます。この場合、塗られていない場所が本当に届かないとは限らない点に注意してください。国土数値情報には診療時間の情報が無いため、時刻は学校の通学圏と同様に利用者が任意に指定します(実際の診療受付時間とは異なります)。

画面挿入病院の通院圏フォーム(行き/帰り切り替え)
画面挿入通院圏の塗り分け結果(病院位置と併せて表示)

2.8 運行本数

日付と時間帯(開始・終了時刻)を指定すると、系統・方向ごとの運行本数を線の太さで表示し、起点→終点(◯本) の形でラベルを表示します。到達圏が「どこまで行けるか」を示すのに対し、運行本数は「その場所にどれだけ便があるか」を示します。

  • 「方向で分ける」を選ぶと、往復を進行方向に対して左右にずらして同時に表示します。
  • 「まとめる」を選ぶと往復の合計本数になり、ラベルは ◯本(往復) の形になります。
  • 線やラベルをクリックすると、その路線だけを濃く表示できます(もう一度クリックで解除)。
  • ラベルは重ならないように自動配置され、置き場所が無いラベルは表示されません(内容はホバーで確認できます)。
画面挿入運行本数の入力フォーム(日付・時間帯・方向の分け方)
画面挿入線の太さとラベルによる運行本数の表示結果

2.9 GTFS A/B比較

2つのGTFSデータを同一条件・同一縮尺の左右2枚の地図で比較できます(改正前後や年度間の比較など)。

  • 左右それぞれで通常の到達圏(時間帯ポリゴン)を表示します。
  • 画面の「PDF出力」からブラウザの印刷機能を開くと、A4横2ページ(1ページ目:左右の地図、2ページ目:凡例と検索条件)でPDF出力できます。保存先には「PDF」を選んでください。
画面挿入左右比較画面全体
画面挿入PDF出力プレビュー(1ページ目・2ページ目)

3. 統計レイヤ・集計機能

3.1 レイヤコントロール

地図右上の「レイヤコントロール」から、ベースマップの切り替えと各種オーバーレイのON/OFFを行います。

  • ベースマップ:OpenStreetMap/地理院 標準地図/地理院 淡色地図/地理院 写真
  • オーバーレイ:選択中の分析結果、GTFS路線図、GTFSバス停、データ範囲、目的地までのルート、各種統計レイヤ

路線図・バス停・データ範囲は分析メニューの選択と独立していて、分析を切り替えても表示は残ります。

画面挿入レイヤコントロールのベースマップ切り替えとオーバーレイ一覧

3.2 統計レイヤ一覧

「統計データ・徒歩圏集計」パネルから、地図に重ねる統計レイヤを設定します。

レイヤ内容解像度・単位出典
国勢調査(人口・年齢)地域メッシュ単位の人口・年齢1km/500m/250me-Stat(任意機能、管理者側でAPIキー設定が必要)
昼間人口・従業地人口(国勢調査)市区町村単位の昼夜間人口・従業地就業者数市区町村境界e-Stat 2020年国勢調査
国勢調査(在学者)地域メッシュ単位の在学者数(総数・小中高・短大高専・大学)500m/250me-Stat統計GIS
従業者(経済センサス)地域メッシュ単位の従業者数(産業別・男女別)1km/500me-Stat統計GIS 2021年経済センサス
学校位置・児童生徒数学校の位置と、円の面積で示す児童生徒数ポイント国土数値情報 学校データ、学校基本調査
小学校区・中学校区通学区域のポリゴンポリゴン国土数値情報 A27/A32
病院・診療所位置施設の位置(円の大きさは病床数、黒縁は救急告示病院)。診療科目(小児科/産科/婦人科/外科/内科)と救急告示の有無で絞り込み可能ポイント国土数値情報 医療機関データ

それぞれのレイヤは独立して表示され、ホバーで詳細な数値を確認できます。病院・診療所位置の診療科目フィルタは、地図右上のレイヤコントロールでレイヤをONにすると直下にも同じ絞り込みパネルが現れ、サイドバーを開かなくても操作できます(どちらを操作しても連動します)。

データの注意点

  • 人口・在学者・従業者の各メッシュは、その地域に人口が均等に分布すると仮定した推計であり、実際の利用者数や個人の位置を表すものではありません。
  • 通学区域ポリゴンは国土数値情報が「精度を保証せず、公式見解ではない」と明記しているデータです。詳細は各教育委員会に確認してください。一部の市区町村は区域データが存在せず、地図上では白く抜けます(該当する市区町村名は状態行に表示されます)。
  • 病院・診療所位置は国土数値情報 医療機関データ(2020年7月時点)によるもので、現在の状況と異なる場合があります。「救急告示病院」は指定の有無のみを示し、一次救急・二次救急・三次救急の区分には対応していません。
  • 小規模なメッシュは統計上の秘匿・合算により表示されないセルがありますが、これは「人数が0人」を意味するものではありません。
画面挿入各統計レイヤの代表的な表示例(人口メッシュ、学校位置、通学区域を各1枚)

3.3 バス停・路線の徒歩圏人口集計とCSV出力

「統計データ・徒歩圏集計」パネルの「徒歩圏の推計人数」で、バス停・路線ごとの徒歩圏内推計人口を集計できます。

  • 集計に使う統計メッシュ(人口・年齢/在学者/従業者)と解像度を選べます。この選択は地図表示用の設定とは独立していて、集計結果とCSVにのみ反映されます。
  • 出発地のバス停を集計:出発地をバス停に合わせた状態で、そのバス停の徒歩圏を集計します。
  • 選択路線を一覧集計:運行本数などで路線図を表示し、路線をクリックした状態で、その路線の全バス停をまとめて集計します。
  • CSVダウンロード:一覧をUTF-8 BOM付きCSVで保存します。調査年・指標・メッシュ解像度・徒歩条件・完全包含セル数・按分セル数が含まれます。

徒歩圏は既定で「OSM道路ネットワークを時速4.8kmで10分歩いた範囲」です。境界にかかるメッシュは、徒歩圏との重なり面積の割合に応じて人数を按分します。

画面挿入「徒歩圏の推計人数」パネルとCSVダウンロードボタン
画面挿入出力されたCSVの例

4. 使いこなしのヒント

出発時刻ちょうどの便に乗れる
到達圏・終電検索とも、出発時刻とまったく同じ時刻に発車する便に乗れる扱いになっています。素直に問い合わせると、停留所まで歩く数秒のずれで「間に合わない」と判定されてしまうため、内部的に少しだけ早い時刻で問い合わせて調整しています。
0分とみなす半径
到達圏・終電検索では、目的地や中心地から直線距離で一定範囲(既定100m)以内のバス停は「そこまで0分で行ける」ものとして扱われます。「0分とみなす半径(m)」を0にすると無効化できます。近所の別のバス停により遅い時刻の便があると、その分遅く出発できることがあります。
終電検索は所要時間で足切りしない
終電検索は到達圏の「到達上限(分)」とは無関係で、当日04:00からリミット時刻までを通して検索します。そのため、リミットから離れた時間に出る最終便も取りこぼしません。
運行本数の「往復」表記
方向をまとめて表示したときの (往復) は、実際にそのGTFSデータで往復2方向が定義されている場合にのみ表示されます。
凡例は畳める
地図右下の「凡例 ▾」ボタンで、凡例パネルの表示・非表示を切り替えられます。

5. よくあるご質問・トラブルシューティング

Q. 到達圏がほとんど表示されない/小さすぎる
A. 出発時刻を変えてみてください。公共交通の到達圏は待ち時間を含むため、出発時刻によって範囲が大きく変わります(次の便が来る直前が最も広く、深夜は徒歩だけの範囲に近づきます)。また、出発地が停留所から離れていないかも確認してください。
Q. 「表示範囲の都道府県を判定できません」と表示される
A. 統計レイヤ(人口メッシュ・学校位置・通学区域など)は、表示範囲がどの都道府県にあたるかを外部サービスに問い合わせてから取得します。この問い合わせが一時的に失敗している可能性があるため、時間をおいて再度お試しください。「表示範囲に日本国内の陸地がありません」と表示された場合は、地図を国内の範囲に動かしてください。
Q. 通学区域が一部の市区町村だけ白く抜けている
A. 出典(国土数値情報)が「一部市区町村は通学区域データが存在しない」としているためで、不具合ではありません。該当する市区町村名は状態行に表示されます。
Q. OTP: 稼働中 にならない
A. GTFSデータが未選択、またはグラフ再構築中の可能性があります。管理者に確認するか、管理者向け操作説明書を参照してください。
Q. 学校の通学圏で「◯校は未計算です」と出る
A. 表示範囲内の対象校が多く、1回のリクエストで計算できる上限(既定12校・最大30校)を超えています。この場合、塗られていない場所が本当にどの学校へも届かないとは限りません。表示範囲を狭めると全校が計算対象になります。
Q. 病院の通院圏で「◯件は未計算です」と出る
A. 学校の通学圏と同じ仕組みで、表示範囲内の対象病院が多く、1回のリクエストで計算できる上限(既定12件・最大30件)を超えています。この場合、塗られていない場所が本当にどの病院へも届かないとは限りません。表示範囲を狭めると全件が計算対象になります。
Q. 病院の通院圏に、近所の診療所が対象として出てこない
A. 通院圏の計算対象は病院のみです(診療所・歯科診療所は対象外)。診療所を含めると母数が数万件規模になり、中心に近い順で選ぶ意味が薄れるための仕様です。診療所の位置そのものは「病院・診療所位置」レイヤで確認できます。

付録:用語集

用語説明
GTFS公共交通の時刻表・路線・停留所などを標準化したデータ形式(General Transit Feed Specification)
OTP(OpenTripPlanner)GTFSとOSMを読み込み、経路探索・到達圏計算を行う経路探索エンジン
到達圏(等時線/Isochrone)指定した時間内に到達できる範囲を示す地図表現
OSM(OpenStreetMap)世界中のボランティアが編集する地図データ。道路網の到達圏計算に利用
e-Stat総務省統計局が提供する政府統計のポータルサイト。人口・従業者などのメッシュ統計を提供
国土数値情報国土交通省が提供する地理空間データ(学校位置・通学区域・医療機関など)
按分統計メッシュが徒歩圏の境界にまたがる場合に、重なる面積の割合に応じて人数を配分すること